無理して笑うな
〈蓮said〉
唯の顔が真っ青だったこともあり、副リーダーとして唯をなんとか舞台裏に下がらせた。
ほんの少しの間ならリーダーなしでも切り盛りできる
しかし戻ってきた唯の目は赤く腫れていて、さっきより顔が青い
いつも無意識に作ってしまう笑顔も今日は引きつっていた。
舞台裏に目をやるとビルが心配そうに唯の様子を伺っていた。
何があった?
そんなこと聞けるはずもなくて、俺は笑顔のまま正面に視線を戻した。
そこは真っ暗で何も見えず、悲鳴に似た歓声しか聞こえない。
今は亜依がそっちに向けて手を振り、話しかけていた。
「もうちょっとで6月、梅雨の季節です!
梅雨になると真っ青な空がなかなか見えなくなるので、BlueSkyの私にとってはあまり嬉しくない季節ですね〜」
亜依はそんなことを言いながらも横目で唯を気にしている。
唯は笑顔で暗闇を見回してはいるものの、時々視線が止まる範囲があることに気づいた。
俺もそっちの方に目をやる。
真っ暗な観客席にも俺達を照らすスポットライトが少し当たるところがある。
そこはステージから5列目までぐらいで、唯の視線も明るいところを指している。
唯はたまに視線をそらしているが、俺は柄にもなくじっと見つめた。