無理して笑うな
橘 達也が陽気な声で言う。
「唯ちゃんからめちゃくちゃ聞いてるよ〜。
想像してたよりめっちゃかっこいい!俺のことは達也って呼んでね。」
達也は俺の手を掴むとブンブンと縦にふった。
「あ、ああ…」
俺は何が何だか分かずに頷いた。
やっと冷静になってきた俺にとってこの状況はとても刺激の強いものだった。
テレビでしか見たことのなかった人達がここにいるのだ。
しかも今さっきステージに立っていたところを俺は見ている。
「な、なんの用があってここに…」
「さっきも言ったけど唯のこと。」
蓮はため息をついた。
「なんで今日コンサートに来たの?」
俺は突然のことについて行けず、戸惑うしかなかった。
「友達に誘われたから、それに唯に会いたかったのもある。」
俺は メールで会いたいって言ったら断られたから と付け足した。
「一目会えたら、諦めようと思って。」
3人が顔を見合わせた。
「…諦めるの?」
俺は頷く。
「俺が、唯にとって邪魔なのは分かってるし。
きっと今回も俺を見て6年前のこと思い出したんだろ?」
俺はうつむいた。
「俺がブスなんか言ったからさ。すごい、ショックだったと思う。」
俺は3人が顔を見合わせたことなんて知らなかった。
「唯は、さ。悠斗君のこと嫌いなわけじゃないと思うよ?」
水野 亜依が呟くように言う。
「だって嫌いな人の話をあたし達にしたりしないでしょ?」
俺はただ3人を見回していた。
「…何が言いたいんだよ?」
「唯に会いたいかって言いたいんだよ。」
蓮が静かに言った。
俺は息を飲む。
「ただ、唯がOKって言ったら。もちろん俺達が説得するよ。
なんとしてでも うんって言わせてやる。だけどそれは悠斗次第。」