梅花の軌跡
なんであたしこの時代に来たんだろう。
そう考えると頭によぎる、美波の笑い声。
あたしは他の写真も見る。そこには家族で撮ったものがのっていた。この写真もみんな笑っている。
あたしは人が笑う顔が好き。
見てたら自分も幸せな気持ちになれるか。
だからこの写真をいつも手帳に挟んでいた。
でも今はこの写真を見たら胸がきゅっとなる。
───ーー帰りたいーー────
ほろりと頬を伝う涙。
私いつまでここに居なきゃいけないのかな。
帰れるのかな。
あたしは泣いているのを見られたくなくて布団に潜り込む。
「どした?」
土方さんはあたし近づき、問いかける。
あたしはその問いかけに答えることができなかった。
答えてしまったら声で泣いてるのがバレそうだったから。
2人はしばらく無言だった。
すると土方さんの方からすっと音が聞こえたと思ったら頭に優しく置かれた、大きくたくましい手のひら。
土方さんはあたしの頭を数回ポンポンし、ワシャワシャと少し乱暴に髪の毛を乱す。
そして何も言わずにさっき用意した布団に入り込んだ。
あたしの涙は驚きでいつの間にか止まっていた。頭がほんのり暖かかった。
土方さんって鬼の副長とか言われてた割には優しいんだな。
たぶん励ましてくれた…んだと思う。
目を瞑ると睡魔に襲われそのまま意識を手放した。