Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
だって、あのウィンザー家の一員なんだから。
なのに……
「私は、あの視線がこ……苦手、なんです」
どうやら、彼女は違うらしい。
苦手?
「でも、マリアちゃんだってこんなのはいつものことでしょ? そんなのをいちいち気にしてたら、外歩けないじゃん」
イギリスでは、ただ其処にいるってだけで注目を集めてしまうウィンザーの名を持つこの兄妹。
向けられるのは、羨望の眼差しで。
中には嫉妬に満ちた視線を向けられることがあるかもしれないけど、そんなものは無視だよ、無視。
“気にすることないよ。”
そう伝えたつもりだったんだけど……
「…………そう、ですね……」
俺の言葉を聞いたマリアちゃんは、苦笑いしながら視線を逸らしてしまった。