サヨナラなんて言わせない
カチカチカチカチ・・・・・
意識の奥に時計の音が響いてくる。
覚醒が近いことを感じていたとき、体がガクッと揺れた。
「はっ!・・・・・・あぁ、あれから寝てしまったのか・・・」
いつまでも手を離さない涼子の傍にいるため、手を握ったままベッドサイドに寄りかかるようにして座っていたのだが、どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
最近ほとんど眠れなかったが、彼女が傍にいるだけでこんなにも心が安らぐ。
時計は深夜2時を示していた。
顔を上げて涼子を見ると、ほとんど呼吸は落ち着いていた。
額に手を充てるとまだまだ熱はあるが、先程よりは下がってきたのがわかる。
ほんの少しだけ胸を撫で下ろすと、ぬるくなったタオルを替えるために今もなお繋がれたままの手をそっと外していった。
名残惜しいが仕方がない。
彼女を起こさないようにゆっくりと立ち上がる。
その瞬間、再び彼女の手が伸びてきたかと思えば俺の足にしがみついてきた。
「涼子さん?!」
突然のことに驚いて見下ろすと、もう一方の手も伸びてきてガッチリと抱きつくように足元に巻き付いていた。