もうひとつのエトワール

意図せずポツリとこぼれ落ちた言葉に、彰良の眉が一瞬怒ったように釣り上がりそうになったのを見て、激しく後悔した。

今自分は、最高にめんどくさい女だ。

せっかく久しぶりに休みが被って、ゆっくり一緒の時間を楽しめるこんな貴重な日に、聞くべきことではなかった。


「急にどうしたんだ、菜穂。やっぱり、何かあったのか?」


一瞬だけ不機嫌になりかけた表情はもはやなりを潜めて、心配げな口調で問いかけてくる彰良に、しんみりとしそうになる空気をぶち壊すほど大げさに笑ってみせる。

本当はもっと可愛らしく、女の子らしく……そう、真希みたいに笑えたら良かったのに。

自分が誰かの笑い方を自然に真似できるほど器用でないことは、よくわかっている。
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