不道徳でも愛してる2〜もうひとつの愛のカタチ〜【短編:完結】

…どうして涙が出るんだろう。

この人の前で泣いちゃいけないのに

張り詰めていた糸が切れたように

閉ざされていた心が

温かくなっていくように涙が止まらない。

『…わかったから泣くな。
俺はアンタの味方だから泣くな。』

森園社長は私の涙を

そばにあったティッシュで拭きながら

『…柊里依奈…アンタを採用する。
仕事は主に俺が指示出すから
俺のアシストをしてくれ…。
後は簡単な雑用もあるが今日から頼む。』

と、私に採用を伝えた。


染められた長めの前髪から覗く

射抜くような漆黒の瞳に

胸の高鳴りが加速しそうだった。


「…森園社長…よろしくお願いします。」

私はその場でお辞儀をすると

『…『燎次社長』と呼べ。
俺はアンタとタメだから
『リーナ』と呼ばせて貰う。』


そう言って

再び私の涙を拭きながら

不敵な笑みを浮かべて私を見つめた。


…私は既婚者。

私は院長夫人…。

この人もまた…妻帯者。

好きになってはいけない。

なのに…なのに…。


この日から段々と私は

この目の前にいる

…森園燎次に心惹かれてしまった。




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