不道徳でも愛してる2〜もうひとつの愛のカタチ〜【短編:完結】
『…リーナ?
一体どうしたんだ?』
至近距離まで縮まり
私を覗き込む社長の視線が痛い。
何だか…胸が苦しい。
『…おいっ、リーナ!!答えろよ!!
黙ってたらわからないだろ!?』
黙ったままの私の右肩に
社長の左手が置かれた。
ビクッと肩が震えたと同時に
社長の左手薬指のシルバーの指輪。
首にかかるシルバーのネックレス。
耳に輝くシルバーのピアスが
私の視界に映ってしまった。
やっぱりこの人は夫婦なんだね…。
なのになぜこの場でも私を
『リーナ』って呼ぶの?
奥さんの前で呼ばないで…。
人妻が身勝手だけど心の涙は溢れ出す。
…もう…嫌だ。
この場所にいたくない。
『……燎次君……知り合い?
あっ、もしかして…この子が…。』
女性が社長にそう言いかけた時
「…嫌っ、触らないで!!
奥さんいるんだったら
私の名前を呼ばないで!!」
肩に置かれた社長の手を
思いっきり振り払った私は
背を向けると涙を堪えながら
何も買う事なく大急ぎで
店を飛び出して行った。