不道徳でも愛してる2〜もうひとつの愛のカタチ〜【短編:完結】

その時

『義親父(オヤジ)!!』

燎次が嘉之さんに向かって叫んだ。


『……!!』

嘉之さんはピクリと肩を揺らすと

その場に立ち止まった。


燎次は一つ息を吐くと

『…オヤジのババアが
オフクロに言った暴言の数々や
オヤジがババアの肩もって
オフクロを守り通さなかった事は
今でも許せねえけど
オフクロは
オヤジ…アンタの事が好きだったし
短い間でもアンタは
俺と本当の親子になろうと
ひっしこいてくれた事には感謝してる。

…リーナを略奪して…悪かった。

罪も十字架も背負うけど
………俺は必ず幸せにする。』

そう言って

背中を向けたままの嘉之さんに

『…今日は……ありがとう。
そして………申し訳なかった。』

と、言うなり深く頭を下げた。


『……燎次。
おめでたい席にお前らしくない。
似つかわしくない言葉は慎め。

…僕の方こそ謝って済む事じゃないが
申し訳なかったと思ってる。

燎次…里依奈…幸せになれ。』


嘉之さんは一度も振り向く事なく

前を向いたまま

私達に手をヒラヒラと振ると

そのまま扉を開けて出て行った。

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