失 楽 園



「そう……ごめんね」


男はそう言うが否や、
私を抱き締めた。
両手が小刻みに震えている。

男は掠れた声で、ワタシに囁いた。


「浮気したのかと思った……」

「や、だ。
 私、そんなことしないよ……」

「うん……わかってる。
 でもね、不安なんだ……」


 苦しそうに、男は呟いた。


「いつ美夜がいなくなるんじゃないかって。
 怖くて怖くて、堪らない」


「……恭ちゃん。
 私は何処にも行かないよ?」


私は何処にも行かない。行けない。

さしずめ私は、
真っ暗な檻に閉じ込められた、
非力な子供だ。



男は異常なまでに私に執着した。

その兆しが現れたのは、
男がまだ中学生一年生で、
私は高校二年生の頃だった――……。


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