「異世界ファンタジーで15+1のお題」五




「ここで、巫女が奉納の歌や舞いを披露したんだって。」

「へぇ…ここで……」



祠の中は、薄暗かったけど何も見えないという程ではなかった。
入口が大きいから、外の光が入り込んで来るせいだろう。
でも、外とは明らかに空気感が違い、張り詰めたような…言葉にはしにくいけれど、とにかくかなにかが違う気がして…そして、誰かに見られているような不思議な感覚を感じた。



「ここで巫女は、御神託を受けたらしいよ。
でも、精霊の声を聞くってどんな感じなんだろう?
声として聞くのかな?
それとも、頭の中にイメージみたいに浮かんで来るのかな?」

「さぁ…どうなんだろうね?」

「おまえ、おばさんの子供のくせに、そういうこと気にならないのか?」

「気にならないわけじゃないけど…
なんかね…まだピンと来ないんだ。
巫女とか精霊とか……でも、僕がこんな身体になったことを考えれば、嘘だとも思えない。
なんだかおかしな気分だよ。」



迂闊にも、僕はライアンと話していて気がついた。
そうだ…ここが普通じゃない場所で、普通じゃないことがあるのも確かに現実で……僕がその証拠だったんだって。



「……とにかく、おばさんがここに来れば、もっといろんなことがわかるさ。
それに……きっと、何か良いことが起こりそうな気がするんだ。」

「良い事?……どんなこと?」

「さぁな。ま、とにかくそんな気がするんだ。
俺、昔からカンだけは良いしさ。
それより、早く出ようぜ。
ガーランドさんが探してるかもしれない。
……本当はここには男は入っちゃいけないらしいんだ。」

「えっ!?そうなの?
そうならそうと先に言ってよ!」

「だって、おまえが見てみたいって言ったから…」



全くライアンったら、困った人なんだから。



僕達は急いで外へ向かった。
外に出た瞬間、明るい陽の光が、僕の目を眩ませて……


< 50 / 66 >

この作品をシェア

pagetop