プリキス!!
「ねぇ、なんで僕を心配したの?」
「なんでって……東麻君が具合悪そうだったからだよ。」
「僕こんな事してるんだよ?なんで?訳わかんない。」
東麻君の言う“こんな事”っていうのは、姫先輩と協力して私をはめた事だけじゃなくて、西の人達を傷つけた事も入ってるように私には聞こえた。
「でも私は目の前で人が具合悪そうにしてたら心配するし、泣いてたら励ますよ。」
「じゃあそれが例えば殺人鬼だったとしても心配するの?」
「きっと。」
「……ふふっ……あはははっ!!」
東麻君は笑い始めた。
それは紛れもない悪魔の方の顔で。
「知ってる?それ偽善って言うんだよ。」
ビリリッと布の破ける音がした。
それは東麻君はセーラー服を胸元から裂いた音で。
「ねぇ、怖いでしょ。助けてっ、夜白、恵〜なんて叫んでみれば?もしかしたら来てくれるかもね。
僕、媚びへつらう奴らも嫌いだけど、あんたみたいな偽善者は一番嫌いなんだ。」
反吐が出る、と言った彼はもう無表情だった。
「偽善と呼ばれても、私は東麻君を助けるよ。東麻君が心配だもん。」
「……まだ言ってるの?いい加減にしないとその口塞ぐよ。」
「私は東麻君が怖い。なんか天使だと思えば超悪魔だし、何考えてるか分かんないし、今だって襲われかけてる。……でも東麻君が倒れたとしたら、助けるよ。」
そうしないと、後悔する。
たとえ助けたことで後で悪い事があったとしても、助けなきゃ良かったなんて思わない。
誰かが遠くに離れていってから後悔しても遅いんだ。
“今”やらないと、“後”で悔やんでもどうしようもないんだ。
「東麻君にどう思われても構わないけど、私の生き方を馬鹿にしないで。それから、そうやって恵達に甘える程私は弱くない!」
「……甘えてくれないの?待ってたのに。強がりだなぁ。」
「え。」
「は?」
聞こえたのは飄々としながらも甘い、奴の声。
「初伊、迎に来たよ。もうこいつのところに行くの、禁止だからね。」
そう言って、近づいてくるのは───恵。
「それから、東麻美琴。そこ退けろ。そこは俺の場所。」
押し倒されている私と押し倒している東麻君。
そしてその前に仁王立ちする恵という不思議な図が出来上がったのだ。