プリキス!!
「西巴君、相手してよ。一般生徒が襲われて、大切な初伊ちゃんも攫われて、挙句の果てに姫が裏切り者だった。仕組んだのはぜーんぶ僕。そんな真似されて、何もしないで帰るほど西は臆病なの?」
挑発してくる東麻君。
それを聞くと恵は、東麻君に近づいていった。
一歩一歩、ゆっくりと近づき、東麻君の前に来るとぴたりと足を止める。
「望み通り、タイマンでもなんでもやってやりたい所だけど、お前と喧嘩することよりも初伊をここから連れだす方が俺の優先なんだよ。だけど───許すとは言ってない。」
恵はグッと東麻君の制服の襟元を掴んで。
「お前も、宮前えれなも。これから此処に行成が来る。あいつは化物並に強いから、生ぬるい俺よりもずっと惨忍にお前達に制裁、加えてくれるんじゃないかな。楽しみだね。」
そう言った恵からは、いつもみたいな優しさは微塵も感じられなかった。
部屋が凍っちゃうんじゃないかと思う程の、冷たく暗いオーラ。
私は彼のこんなところを見たことがなかったから、あまりにもいつもと違いすぎて、いつもの恵が消えちゃったんじゃないかと心配になった。
でも振り返った恵の顔はいつも通りで。
良かった、恵だ……なんて安心してしまったんだ。
よし今度こそ帰ろう、と微笑む恵。
でも私、まだ帰れないみたい。
やり残したことがある。
「東麻君、姫先輩は何処?東にいるんでしょ?」
「初伊?……放っておきなよ。あいつなら行成が……。」
「恵、姫先輩に怪我させたら絶交。」
「なんで?!」
やっぱり恵も橘も、姫先輩を殴るなりしようとしてたみたいだ。
「男が女の子に手を出すとか、絶対駄目。」
「だって……初伊に手をかけたんだよ?そいつを許せって……。」
「私なら怪我もなんにもしてないよ。だから姫先輩に“私の事”で絡むの禁止。」
でも……!と反論する恵は放置。
私は東麻君に近づいて、もう一度言う。
「姫先輩に会わせて。」