世間知らずな彼女とヤキモチ焼きの元上司のお話
「乗馬部ってのがあったんだけどね」
「乗馬部!! さすがセレブな香り」
え? そこで反応するの?
思わず言葉を止めて彼の顔に目をやると、彼も私の顔をまじまじと見返した。
「もしや、続きあった?」
「うん」
「どんな?」
「友だちの友だちが乗馬部に入ってたんだけどね、契約してる乗馬クラブまで通って活動するんだって話から、馬はそこのを借りるのって聞いたら、この前買ってもらったって言ってて、」
彼はぽかんと私の顔を見た。
「……馬、買ってもらっただぁ!?」
「うん」
「ありえね~!」
「そうだよね~。私も驚いたよ。馬なんて高いでしょうって聞いたら、車一台分くらいだからって言われてさ」
「それって大学の時?」
彼は恐る恐るという様子で私を伺い見る。
「中等部の時」
「うわーー!! 何それ!! 中坊に車一台分の馬買う!? ……どーせ、乗馬でオリンピック目指すってような部活じゃないんだろ?」
「見たことないけど、多分」
「あー、ホント、信じらんねー! マジ、お嬢様学校、おそろしー! ……で、次は?」
彼はふうと大きく息を吐くと、ニヤニヤ笑って、また私を見た。
「え? もうないよ」
「いやいや、そんなはずはないだろ?」