元姫と現姫ー嘘に塗れた真実ー
「優しく、か…」
仁くんが声を漏らす。
その声が、少しだけ掠れて聞こえて。
「仁くん…?」
私は仁くんの名前を呼ぶ。
「…桜ちゃん」
くるっと顔をコチラに向けた仁くんの表情は、真剣さそのもので。
「…っ」
明らかにいつもと違う仁くんに戸惑いを隠せず、息を呑む。
仁くん、いつも笑ってるよね。
ニコニコ、ニコニコして。
私はそんな顔、見たことないよ。
真剣な、その顔を。
なのに、なんで今、そんな顔をするの?