恋愛応援部

1

廊下、まっすぐ続いていて窓からの風が吹きつける。
「柳いくよ!」
向こうで日崎が呼んでいるのが見えた。俺はしばらくその場を動かなかった。
それは、深い考えごとをしていたからであった。
「勘月さんが呼んでるよー」
ふと、その声で意識を取り戻した。
「あ、わかった」
俺はおわてて日崎の元へ駆け寄った、そして勘月のいる生徒会室へと向かった。

生徒会室の前までくるとドワを3回ノックして勘月の返事を確認し部屋へ足を踏む入れた。
「それでー?何の用ですかー」
不機嫌そうに日崎はそう言った。
「うーんこの前結成したじゃない?恋愛応援団!正式にはお互いの恋愛応援し合いましょうー団だけど……」
「それが?」
「あんまり活動してないなーと思って」
日崎の問いかけに勘月はそっけなく答えた。
「活動ってだいたいどういう事するんだよ、それに俺達まだお互いの狙い聞いてないわけだし」
「じゃあ発表し合いましょーか?」
「え、教えてくれるんですか?」
「俺反対」
日崎は勘月の言葉にのって少しはしゃいでいたが、俺はまるで見抜きもしなかった。
「そんなー最近素っ気ないわよヤナギン!」
こんな恋愛応援団なんて結成して何になるのだろうと俺は半身思っていたのである。
結成する時は軽い気持ちでやったものの、あれから一週間が過ぎると言うのに誰も進展がないのだから、それはそうだ。
「俺抜けるーだってこんな事したってどうせ無駄だろ?」
「無駄ってなによ!私達は真剣に……」
「お前が真剣だろうが俺には関係ないことだっての……」
むしゃくしゃした気持ちが心をよぎってついそんな言葉を発してしまう。
少し悪いという気持ちもあったがその場で謝る俺でもなかった。
「それじゃ……」
俺は生徒会室を後にすると会談を下った。
「イタ!!」
俺の頭に何かが落下してきた。
< 10 / 16 >

この作品をシェア

pagetop