恋愛応援部

3

「嫌だな、俺勘月にこれ以上振り回されるのごめんだし」
俺はそっけない態度でそう答えた。
「勘月さんだって叶えようとしてる……僕を応援団に入れてくれたのも……結成のアイディアを言ったのは勘月さんだ……」
「それは無理やりだ」
「その時は……無理やりだし……何でこんなこと僕がしなくちゃいけないのかと思った。
でも今は皆と恋愛の話とはしてすごく楽しいんだ……だから柳も……」
「俺は楽しくなんかないけどな……」
俺は日崎の同情が嫌でわざと冷たくあたった。
それは俺が思ったことでもあったが、何より反射神経的に言葉が出てくるのである。
「でも……柳だって笑ってたろ?」
「作りものだよあんなの」
俺は少し疑問に思ったことがあった。
「柳!残ってくれよ……」
「お前、又霧吹喜 を本気で手に入れようとしてるのか?」
どうしてそこまで日崎入れがこの応援団に俺をようとするのかが不思議だった。
「又霧さんは手に入れるんじゃない、叶えるんだ。ただ願を……」
「できると?」
「できないって解ってても諦めがつかないからしょうがないさ……
叶えることができなかったとしても今此処で忘れることができない。
でもきっと全力で伝え切れたら忘れることができると思うんだ」
日崎も俺と一緒だった。いや、日崎だけではない、きっと勘月も、威槙もきっとそうだ。
叶えることができないと思いながらも忘れる事のできない恋愛をしているんだ。
だから忘れるため、いや叶えるために全力で勝負するんだと、俺はその時日崎に教えられた。
闇の中で一人もがいていても出口はなかなか見つかりやしない。
でも二人、三人、四人で出口を探せはきっと一人の四倍出口が探せる。
だから一人で悩まなくて皆で悩めばきっと出口は見つかる。
有難いことに俺の周りは真っ暗でもなく、ちゃんと仲間もついてくれているんだ。
そう考えると気持ちも楽になるし、日崎の言っていることも分かり始めた。


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