「ほんとさぁ……俺。どうしたら良かったんだろうな。足動かなくなってさ……マジ……ありえねぇ……今までの実績とか……全部……意味ねぇ……」
俺は悔しくて、勝手に目頭が熱くなって素直に泣いていた。泣きたくもねぇのに、今まで溜め込んだもんか全部溢れ出て止められなくなった。嫌がらせにも耐えて我慢して、我慢して、暴力受けても耐えて抑えてきた。のに、何もいいことはなかった。
自慢の足が奪われて絶望するしかなかった。
そう思うとあまりに悔しくて辛くて、どうしようもなく泣くしかなかった。
俺はひたすらに泣いた。
隣で座ってたシンジも一緒に泣いて、俺が落ち着くまでつきあってくれた。



俺はしばらく声をあげて泣いた。泣いた後はまたさっきのように空を見ていた。暗くなっていくまだ暑い夏の空だ。
「まだ走りたいよ。俺、まだ高2なんだよ」
俺は呟いた。俺を見捨てた神に聞こえてはくれないだろうか。
「そらそうだよな。俺だって人に足奪われたら泣くな。サッカーにも足が命だし」
シンジは顔をしかめていった。
「俺、あんまりに虚しくなって、悔しくて、どうすることも出来ない絶望感に押しつぶされそうになってた。多分。だから屋上来て、死のうって思ってた」
「そうやったんか。俺がいなかった方が良かったかな」
「なんで?シンジがおらなここまで来れてないで?」
「だからだろ。俺エイスケに死んで欲しくないぞ。まぁ全力で止めるけど」
「はははっ。もう死のうとか思ってねぇよ。ってかおってくれて良かったわ」
「なんで?何もしてないけど」
「まぁ深く考えるな」
俺らは笑っていた。
「サンキューな。色々言って、スッキリした」
「よかったな。俺も自殺止めれて嬉しいわ」
「おい。はははっいつ止めたんだよ。」
「はははっ知らんわ」
2人でくだらないことで笑い会えた。
一人で屋上に来なくて本当に良かったと俺は思った。

続く



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