春夏秋冬、ときめいて
うまい言葉が出てこなくて黙りこむあたしに、何かしらの解釈をしたようで、隼汰は


「……分かった」


立ち上がり、出て行こうとする。


「やだ、待って、行かないで」


思わず抱きつく。足元では雨丸が、みゃお、にゃおと鳴いている。


何て言おう。

どうやって説明しよう。

どうすれば、プレッシャーを与えないですむ?


「あたし……隼汰と結婚したい」


……ま、間違ったーーーーー!!


ド直球。


こんな球、素人には受け止められない。


3歳下の彼氏なのに。


折角今まで色々工夫してきたのに。



……終わった。サヨナラ、隼汰。


アラフォーのババアの重圧に耐えかねて、去って行くのね。


「俺もだよ」


ん?


「俺も、茉美ちゃんと結婚したい」




あたし達は、それからしばらくぎゅーっと抱き合っていた。


恥ずかしくて、顔が見られない。


……最初から素直になってもよかったんだね。



あたし達のまわりを雨丸がぐるぐる回り、窓の外にはチラチラと雪が降り始めていた。



【完】
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