春夏秋冬、ときめいて
「なーんて言うか、パーッと、向日葵が咲いているみたいに笑ってます、俺の中で」


「……そっか」


ふいに、気持ちが明るくなる。


誰かの心の中で、あたしが、向日葵みたいに笑っているなんて、考えたこともなかった。


たったそれだけのことなのに。


あたしの人生が、捨てたもんじゃないような気がしてくる。


咲哉君の側にいれば、あたしは太陽の方を向いて、笑っていられるのかな。



「汐里さん、今度、二人で向日葵畑見に行きませんか?いいことろがあるんです」


二人で、の部分が、妙にくすぐったい。


咲哉君が、緊張してる。


あたしも、緊張しちゃう。


「うん、連れてって」


二人で、顔を見合わせて笑う。


今年の夏は、眩しいくらいの向日葵畑を、二人で見に行こう。


【完】
< 44 / 122 >

この作品をシェア

pagetop