CHECKMATE
「あっ、お兄ちゃん!」
「えっ?……はい、何ですか?」
突然、呼び止められた千葉。
にこやかな笑みを浮かべ振り返った。
すると、
「4階は行かない方がいい」
「え?」
「柄の悪そうな男が年中うろついてるから」
「………それって、かなり怪しい感じですか?」
刑事としての立場上、もっと具体的に聞きたい所だが、今日は地取り(聞き込み)で来ている訳ではない。
しかも、ここで警察手帳を出せば、警察が嗅ぎつけている事が知られてしまうかもしれない。
まだ確信が持てない今、事を荒立てない事が1番の得策である。
千葉は如何にも『そんな危ない所には行かない方がいいですよねぇ?』的な意味合いで女性に尋ねた。
「怪しいなんてもんじゃないよ。ありゃあ、きっと悪さをしてるに違いない」
「………そうなんですか?だったら、あなたも十分気を付けないと……」
「あぁ、そうだね。命は1つしかないからねぇ。こんな老いぼれでも家で大事な人が待ってるからねぇ」
女性はモップを手にして階段を下りて行った。
「4階……か」
千葉は深呼吸して、出来るだけ足音を立てずに4階を目指した。