CHECKMATE


病院から戻る車内で。

「夏桜?」
「……ん?」
「どうかしたか?」
「……………ん、ちょっと」
「ちょっとって?」

後部座席に座るや否や、夏桜は携帯で何やら調べ事を始めていた。
その表情があまりにも真剣だった為、千葉は気になって仕方が無かった。

「ねぇ、私が住んでたマンションに行って貰える?」
「何かあるのか?」
「調べたい事があって……」
「…………ん、分かった。場所はどこら辺?」

夏桜は、少し前まで住んでいたマンションへと車を回して貰う事にした。
マンションに到着すると、千葉を連れ久しぶりの自宅に足を踏み入れた。
すると、

「えっ………?」
「おいっ、これは……」

夏桜の部屋は、何者かによって荒らされていた。
すぐさま警視監に連絡を入れ、江藤姉妹の自宅にいた三國を呼び寄せた。

三國は鑑識課の中でも群を抜く腕前の持ち主である。
夜を徹して現場の撮影、指紋・足跡の採取などが行われた。


明け方近く、千葉のマンションへ帰宅した2人。
いつもなら夏桜が玄関の中に入るのを見届けるのだが、カタカタと震えている夏桜を1人にするのは忍びなくて、千葉は悩みあぐねていた。

エレベーターで自宅のある階へと到着しても、自宅から持ち帰った書籍をギュッと握りしめ、俯いたままの夏桜。

さすがに千葉も空気を読んで、そっと夏桜の肩を抱き寄せた。

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