CHECKMATE


千葉はふと思った。

17時を回ったこの時間帯に大通りに出たとして、俺自身は恐らく逃げ切る事が出来るだろう。
雑踏の中、人ごみに紛れるのは難しい事じゃない。

だが、人通りの多い時間帯に、あの男2人組が器用に人の波を掻き分け走るだろうか?
答えは『No』だ。

きっとアイツらは、行く手を阻む一般市民を突き飛ばすに違いない。
善良な市民を巻き込む訳にはいかない。
――――千葉は瞬時にそう判断した。

この回廊状の中でケリをつけたいと考えた千葉。
かといって、追って来る2人に姿を明かす訳にもいかず……。

走りながら千葉の視界に入った1人の女性。
何やら携帯電話の画面を眺めながら立ち止まっていた。

「これしかない!」

千葉はその女性に向かって頼み込む。

「あっ、すみません!少しの間、付き合って下さい!!」
「へ?」

驚く女性の目の前で千葉は着ていたブルゾンを素早く脱いで、そしてそれを裏返し、再び袖を通した。
追っ手の男の目を欺く為に、リバーシブルの上着を羽織り直したのだ。

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