CHECKMATE
上着は黒からミリタリーカラーに変わり、更に千葉は伊達眼鏡を外し、ポケットからキャップを取り出しそれを被った。
そんな素早い一連の行動を凝視している目の前の女性。
千葉の行動に呆気に取られている様子。
そして、千葉はその女性の腕を掴んでビル脇の通路に移動した。
目を見開く女性に対して千葉は、
「本当に申し訳ない!!ほんの少しの間でいいんです!ちょっとだけ我慢して下さい!」
「へ?」
懇願するように深々頭を下げた。
一体、何の事だか分からない女性は、目の前の千葉を見据えている。
すると、千葉はポケットから煙草を取り出し、その煙草のソフトケースを覆っているフィルムをサッと剥がした。
そして、申し訳ない表情で千葉は彼女のマスクを外し、こう口にした。
「殴るなり蹴るなり好きなだけしていいので!!失礼します!!」
千葉は女性の腰を抱き寄せ、身体を密着させた。
そして、手にしたフィルムを彼女の口元に当て、自分の唇をそこに被せた。
「ッんーッ!!んんんっ!!」
千葉の突然の行動に暴れる女性。
明らかに『恋人の甘い時間』には到底思えない。
仕方なく、千葉はそっと唇を離した。