CHECKMATE


「ん?……あいつは?」
「あ、今給湯室に」
「そっか」

副総監室から戻った千葉は、ジャケットを椅子の背もたれに掛け、持ち帰った書類に目を通し始めた。

「あの、班長」
「ん?」

書類から視線を上げると、三國は1枚の紙を差し出した。

「ご依頼の………報告書です」

倉賀野に気付かれぬように千葉は小さく頷く。

「悪かったな、急がせて」
「いえ、仕事ですから」
「サンキュ」

三國も倉賀野に気付かれないように自然と自分の席に戻る。

三國から手渡された報告書には、夏桜が例の婦人科で処方された薬品にまつわる情報が記されていた。
そこには、とりわけ気になる点は無い。

どこにでもある婦人科で処方される薬品だという事と、婦人科に通う女性によくある症状だという事。
だが、千葉の表情は明らかに曇っていた。


給湯室から戻った夏桜
千葉の姿を確認し、踵を返した
千葉にも珈琲を淹れてあげようと思ったのだ。

すると、そんな夏桜の後を追うように、千葉も部屋を後にした。

「それ、俺の分か?」
「ん。………飲むでしょ?」
「あぁ」

ドリッパーに入っている残りの珈琲をカップに注いでいると、千葉はシンク台に寄りかかり腕組みをした。

「次にあの病院に行くの、3日後だったよな」
「うん、………それが何か?」
「俺も行くが、構わんだろ」
「えっ?………別に、構わないけど……。私の診察だけだから、同行しなくても………」

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