CHECKMATE


夏桜の性格を熟知している真希。
恐らく、どんな状況下でも適応しているだろうと思っていた。

夏桜の人生が孤独と隣り合わせだから、うわべだけでやり過ごす事も処世術なのだと理解出来る。
そんな夏桜の事があまりにも不憫に思い、また幼い頃に病気で急死した実妹と影が重なり、夏桜の事が気になって仕方ないのだ。

「あ、そう言えば、新しい家はどう?住み心地はいいの?」
「………はい」

珈琲を口にした真希は、箱からマカロンを取り出し、夏桜へと差し出した。

「どこら辺なの?」
「はい?」
「…………い・え」

夏桜は真希からマカロンを受け取り、個包装のフィルムを外す。
夏桜が住んでいたマンションが何者かによって荒らされていた事は真希も知っている。

だが、千葉のマンションに住んでいる事までは話していなかった。

「警視庁からもほど近く、利便性もいいです」
「…………そうなんだ」
「はい」
「警視庁が用意してくれたんでしょ?」
「………はい」
「なら、安心ね」

優しい笑みを浮かべ、真希は二つ目のマカロンを口にした。

夏桜は、真希に対して隠し事をしている事が心苦しかった。
だが、安易に口にしていいものか、夏桜には分からなかった。

唯一心を許している真希であっても、千葉との約束を天秤にかけると、軽々しく話していいものではないと判断したのだ。
だって千葉は夏桜の為に、命がけで任務を全うしているのだから。

夏桜は口いっぱいにマカロンを頬張り、にっこりと微笑み口を噤んだ。

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