CHECKMATE


「少しは話せたか?」
「………ん」

本庁へと戻る車内。
夏桜は、窓に凭れるように体を預け、ボーっと流れる景色を眺めていた。

そんな彼女をルームミラー越しに捉え、違和感を覚えた。

少し前の彼女なら、鬱憤を晴らせたかのような表情を浮かべていた。
それこそ声も弾ませ、楽しそうに友人の話をするほどであったのに。

ミラー越しの彼女は、物悲しい表情を滲ませていた。

千葉はあえて触れず、無言で車を走らせる。
夏桜に尋ねたところで、答える彼女でないことを理解していた。

何でも話して欲しいと伝えはしたが、結局全てを打ち明けて貰えてない事も把握していた。

剣持ほどではないが、千葉もそれなりに女遊びをして来たつもりだ。
どうしたら女性が喜ぶかという事も熟知していても、夏桜に対しては少し距離間を取っている。

世界的に貴重な存在だという事もあるし、今まで接した事のないタイプだという事もあって、正直扱いに困っていた。

***

「東君の様子はどうだったかね?」
「はい、少し疲れている様子でしたが、捜査にも慣れて来た様子でした」
「そうか」
「他に何か、気になる点はあったか?」
「いえ、特に」
「そうか。………もう戻っていいぞ」
「はい、失礼致します」

河村真希は深々と一礼し、部屋を後にした。

無表情でエレベーターに乗り込んだ真希。
階数表示のボタンを押す手が、微かに震えていた。

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