CHECKMATE

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「千葉さん、千葉夏桜さん。2番診察室にお入り下さい」
「行って来るね」

潜入捜査の名目で診察の予約が入っている日。
夏桜は、千葉と共に婦人科を訪れていた。

看護師に呼ばれ、夏桜は素早く立ち上がり、2番診察室へと向かった。

ドアの前で一呼吸。
この後に起こる事が予想できている夏桜は、少し緊張していた。

気持ちを落ち着かせ、スライド式の引き戸に手を掛けようとした、その時!!

「ッ?!」

背後からスッと長い腕が伸びてきて、夏桜が開けようとしたドアを静かに開けた。

「入らないのか?」
「………入るわよ」

声の主は振り返らなくとも判る。
一応、ここでは『夫』である、千葉だ。
邪険にすることも出来ず、仕方なく無言で診察室へと。

看護師に促され、二人で椅子に座ると。

「えぇっと、千葉さんね」
「はい」

医師は電子カルテと検査結果のファイルを交互に見ながら口を開いた。

「今日はご主人もいらっしゃるから、まずはご主人の検査結果から申し上げますと……」

夏桜は予想もしない展開に少し動揺した。
自分の診察の日だった訳だが、千葉が同席しているという事で意外な展開に。

千葉は小さく唾を飲み込んだ。

2週間ほど前に確かに検査したのだ。
その結果を、まさか夏桜がいる前で言われるとは思ってもみなかったのだ。
だが、仮にも夫婦である。
ここで拒否しては、返って怪しまれる。

診察に同席するほど仲がいいという設定上、二人は医師の言葉を聞くしかなかった。

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