CHECKMATE
「メールの件だが………」
険しい表情で倉賀野を見据えると、彼はノートパソコンのモニターを見せる。
「昨日入手したデータのコピーです」
「ん」
「この中に、江藤絵里や同僚の女性と思われる治療カルテが存在し、しかも二重に鍵がかかっていました」
「ん」
「で、そのロックを解除すると、他のカルテには無い項目と緻密なスケジューリングが施されていました」
倉賀野は千葉にも分かるように複数の画面を表示させ、比較させた。
「あいつの言った通りだな」
「………はい」
千葉が目にしたのは、通常配偶者の欄に記載されるべき夫の氏名ではなく、患者が所属しているクラブの名前が記されていたのだ。
それらは複数のファイルに保存されていて、如何に多くの女性が犠牲になっているかという証拠がそこにあった。
「それから…………」
少し躊躇するような感じで、口を開いた。
「実は………、2週間ほど前から本庁にある自分用のPCに、何者かによるハッキングされた形跡がありまして……」
「何っ?!」
「気づいたのが、先週末です」
「何か盗まれたのか?」
「いえ、コピーされた形跡はありません。海外のサーバーを経由しているので、相手を特定するのは難しいですが、自分用のPCはコピーすると、エラーになる設定にしてあるので、今の所大丈夫だと思います。ですが、100%とは言い切れません。自分より腕のいい人間なら簡単に暗号を解けると思いますし………」
「ハッキングされたデータが何か、特定出来てるのか?」
「はい。それが、コレです」
倉賀野は、テーブルの上に1つのUSBを置いた。
「ここへお呼び立てしたのも、この事があったので……。もっと早くに報告するべきだったのですが、疑い始めたらキリがなくて……」