CHECKMATE
神妙な面持ちで千葉を見据える倉賀野。
データ管理を一人に任せっきりなのだから、怒りようがない。
起こるべくして起こったのだろう、そう千葉は考えた。
「この中に、いや違うか。ハッキングされたデータってのは?」
千葉が小声で話すと、倉賀野は辺りを気にしながら更に声を落として……。
「東さん絡みのデータのみです」
「ッ?!…………確かか?」
「はい」
夏桜の個人情報は極秘中の極秘。
チーム『S』でも科警研でもごく限られた人間しか知り得る事の出来ない情報だ。
「今後もハッキングされるかもしれないので、念の為にデータを分離しておきました。なので、抜き取ったデータがこの中に……」
「助かる」
「それから、念には念をと思いまして、例の病院のカルテの情報もこの中に入ってます」
「サンキュ」
機転を利かせた倉賀野の処理のお陰で、最悪の事態が回避出来た。
一先ず気を落ち着かせようと、千葉は珈琲を口にする。
すると、
「東さんは大丈夫なんですか?」
「ん?」
突然大丈夫かと聞かれても、何の事か分からない千葉。
夏桜の持病の事は誰にも話してないのだから……。
唖然とした表情で聞き返すと。
「東さんのカルテですが、…………二重ロックのファイルの中に入ってました」
「何っ?!」
「自分もおかしいと思って、何度も確認しました。ですが、自分が捜査用に作成した保険証番号ですし、配偶者欄に班長の名前が記載されてましたから」
「どういう事だ?………クラブ関連だけじゃないって事か?」
「分かりませんが、もしかすると………そうなのかもしれません。自分が未確認なだけで、他にもファイルがあるのかもしれません。役不足で申し訳ありません」
「いや、謝る必要は無いんだが………」
安堵したのもつかの間、再び不穏な空気が漂い始めた。