CHECKMATE


元ホステスの女性2人から入手したスマホ。
そのスマホ内部に残る削除されたデータを復元処理中の三國。
ノートパソコン3台を駆使して処理している手を止め、夏桜の元にやって来た。

「固まってますね。………いつ頃からですか?」
「ついさっき、………2~3分くらい前かしら?」
「う~ん、ちょっと調べてみますね」
「ありがとうございます、珈琲でいいですか?」
「あ、すみません」

夏桜は三國にパソコンを任せ、珈琲を淹れに向かった。
三國は深呼吸し、カタカタとキーボードを打ち始めた。

珈琲カップを手にして戻ると、三國がちょうど席を立ったところ。

「どうですか?」
「再起動した上で保存ファイルの整理をして、要らない履歴も削除したので、もう大丈夫だと思いますが……。もし、またおかしくなるようでしたら、倉賀野君に見てもらって下さい。俺なんかより、専門家ですから」
「分かりました、ありがとうございます」
「いえ、大したことしてないですから」
「とんでもない!パソコンはあまり得意じゃないから、ホント助かります」
「東さんでも、苦手なものがあるんですか?」
「そりゃあ、ありますよ」
「例えば?」
「…………内緒ですよ?私、犬が大の苦手なんです」
「犬ですか?………チワワみたいな小型犬でも?」
「………はい。猫と違って、吠えながら近寄って来るじゃないですか、結構なスピードで」
「まぁ………そうですね」
「警察犬みたいに大人しくてじっとしてる犬なら何とかなるんですけど、吠えたり暴れたりする犬は怖くて……」
「それって、………トラウマとか?」
「まぁ、そんなところです」

苦笑した夏桜は珈琲に口を付け、自嘲気味に話し始めた。

「幼少期に隣の家で飼っていた大型犬に足をガブっと噛まれたの」
「えっ?!それじゃあ、仕方ないですよね……」

夏桜はズボンの裾をほんの少し捲り上げ、下脛部分に残る傷痕をチラッと見せた。
そこには、少し抉られたような傷痕があった。

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