CHECKMATE


警視庁を出た千葉の車は、東京高等裁判所、水産庁、経済産業省と次々に横切り真っすぐと南下して、虎ノ門交差点を通過した。

「このまま真っすぐか?」
「………ん、そうみたい」

珍しく助手席に座った夏桜は、携帯ナビを確認しながら千葉を誘導する。

「このまま進んで、首都高速都心環状線をくぐって」
「…………で?」

千葉は苛立ちながらも、周囲に気を配りながら運転する。
暫く道なりに進むと、

「次の三田三丁目の交差点を右折して、次の信号を左に曲がって」
「右に曲がって、すぐ左だな?」
「………ん」

千葉は芝公園の横を通過しながら、『デート』ならお台場かと思ったが、お台場へと向かう交差点を左折せずに通過した。
一体、どこへ向かっているのか。
進行方向で『デート』となると………?

「あとは道なりに真っすぐ進んでくれればいいから」
「道なりに真っすぐか?」
「………ん」

声を弾ませながらスマホをバッグへとしまった夏桜。
そんな彼女を視界の片隅に捉えた千葉は。

「品川?」
「え?…………何で分かったの?」

キョトンとした表情でハンドルを握る千葉に視線を向けた。

「俺、生まれも育ちもここ(東京)だから」
「あ、……………そうだった」

最初から『品川に』と言ったのでは面白くない、そう思っていた夏桜。
シートに座り直して、辺りの景色を眺めながら、千葉に聞こえないようにボソッと呟いた。

「人の気も知らないで………」

気恥ずかしさを紛らわすため手で顔を扇ぎながら、ほんの少し窓を開けた。

千葉は無意識に隣の車線の車を確認し、後方の車もミラー越しに確認した、その時。
警視庁を出てすぐの虎ノ門交差点を通過する際も、首都高速をくぐる際も、三田交差点を右折する際も2台後方に同じ車両を確認している。

千葉は思わずルームミラーを二度見した。

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