CHECKMATE


1台挟んで後ろに位置している為、ナンバーまでは確認出来ない。
東京都心の市街地を走っているとはいえ、既に19時を過ぎている。

カーライトが邪魔して、周りの明かりだけを頼りに人物の顔を把握するのは不可能だ。
無意識にハンドルを握る手に力が入る。

「あっ、見えた!あのビルにお願い」
「……あれって、ホテルだぞ?」
「ん!」

デートがホテルって……。
一体どんな男と待ち合わせなのかと気になって仕方ない千葉は、すっかり子供のように燥ぐ夏桜の頭をポンと叩き、

「危ないから、落ち着け。刑事が事故ったらシャレにならん」
「っ……、ごめんなさい」

千葉は慣れた手つきで片手でハンドルを右に旋回し、夏桜の頭をポンポンと撫でた。

車が到着したのは、都内でも有名な一流ホテル。
複合型のそこは老若男女問わず人気で、デートは勿論のこと、アクティビティが豊富なこともあってファミリー層にも人気だ。

更に、最近は海外からの観光客を集客する目的で、色々なイベントが催されている。

車を降りた2人は、夏桜のエスコートでホテルのレストランへと向かった。

「今晩は、いらっしゃいませ」
「予約している東と申します」
「東様ですね?少々お待ち下さい。…………東様、2名様でのご予約、誠に有難うございます。お部屋へとご案内致します」

和服姿の女性店員が2人の元に現れた。

「お部屋へとご案内致します。どうぞ、こちらへ……」

2人が案内されたのは、純和風造りの個室。
落ち着いた雰囲気の中にも華やかさがあり、思わず息を呑む。

予約時間を少し回っているいることもあり、既に卓上には幾つかの器が用意されていた。

「予約してるだなんて、聞いてないぞ」
「言ったらサプライズにならないじゃない」

ジャケットを折りたたみながら、千葉は大きな溜息を漏らした。

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