CHECKMATE
次々と運ばれてくる料理の数々。
そのどれもが味は勿論のこと、見た目も美しい。
1人では敷居が高すぎて決して入れないような店だが、2人でなら気兼ねせずに食べることが出来る。
世の中から隠れるように生活して来た夏桜にとって、初めてとも思える至福のひと時。
だが、あっという間に1時間が経過した。
「あぁ~食べ終わっちゃった……」
「食べすぎだろ。腹壊すぞ?」
「大丈夫!この為に、お昼ご飯を減らしたから」
「フッ」
少し窮屈になったウエスト部分に手を当て、満足げな表情を浮かべた。
「よし、次行こう!」
「は?」
「まだまだ付き合って貰いますからね!」
お気に入りのトートバッグを肩に掛け、千葉の腕を掴んだ。
2人が次に向かった先は、同じ敷地内にある別の施設。
音と光と映像が海の生き物たちと融合してダイナミックな世界観を味わうことが出来る場所。
人目も気にせず燥ぐ夏桜。
そんな彼女を捉えながらも、千葉は警戒心を解こうとはしなかった。
次に向かった先は………。
「映画館?!」
「しっ、声が大きい」
「悪い」
ホテル内にある映画館。
ボウリング場があるのは知っていたが、映画館まで併設しているとは知らなかった千葉。
ここ数年彼女を作っていない為、デートらしいデートすらしていない。
だから、こんな近場に完璧なデートトライアングルとでも言うような施設があっただなんて。
フロントで支払いを済ませた夏桜を唖然と見つめていた。
「私ってと~~っても優しいから、アクションものにしといたからね?!」
「フッ、別に恋愛ものでも良かったのに」
「あ、私、恋愛ものは苦手なの」
「へぇ~、じゃあどういうのが好みなんだよ」
「私?…………あぁいうのが好き♪」
「あ、フッ、だよな」
夏桜が指差した先には、テレビドラマでも人気を博した医療ものの映画広告が貼られていた。