CHECKMATE


不審な人物が映っていないか、倉賀野と手分けして確認したが、結局それらしい人物の特定には至らなかった。

「そうだ、倉賀野」
「はい、何でしょうか?」
「昨日の19時過ぎの俺の車の追跡が可能だよな?」
「班長の車ですか?」
「あぁ、走行した経路を言うから、画像を拡大して出してくれ」
「あ、はい、了解です」

程なくして、目の前のパソコンに千葉の車が映し出された。
勿論、助手席には夏桜の姿がある。

車は警視庁を出た後、虎ノ門交差点を通過し、そのまま直進し南下していく。

「ストップッ!今のところを鮮明にしてくれ」

倉賀野は数秒巻き戻し、千葉の車を拡大した上で鮮明に編集する。

「チッ」
「キャップを被ってるので、顔が分かりませんね」

千葉の2台後方を走行する車の運転手は、キャップを目深に被り、いかにも監視カメラを意識している様子。
その後も色々な角度の映像を確認したが、そのどれもが不鮮明だった。

「班長、そろそろ迎えの時間ですよ」
「もうそんな時間か?」
「はい」
「仕方ない、行って来るか」
「じゃあ、自分は、この車両の経路を調べてみます」
「ん、頼むな」
「あっ、そうだ!……班長、これ」
「おっ、もう準備できたのか?」
「はい」

千葉は倉賀野から白い箱を受け取った。

「倉賀野、これを頼んだことを知ってるのは、他にいるか?」
「いえ、いませんけど……。特殊な工具を使うので、昨日実家に帰って仕上げましたが、それが何か?」
「いや、何でもない。もしかすると、お前も監視されているかもしれないから、十分気を付けろ」

念には念を入れるに越したことはない。
疑い始めればきりがないことも承知の上で、それでも打てる手は全て打たねば……。

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