CHECKMATE


「お世話になりました」
「………」

夏桜は2年の歳月をこの科警研で過ごせた事への感謝の意を表した。

所長はグッと言葉を堪えている。
不本意ながらも上からの命令に従わざるを得ないからである。

その後、夏桜は所長から『補佐』という名目の『極秘任務』を賜った。


所長室から戻ると、真希が不安そうな表情を浮かべていた。

「……夏桜?」

真希の優しさが伝わってくる。
他の研究員の目もあるというのに、今にも涙が溢れそうである。

「大丈夫ですよ、先輩」
「でも……」
「派遣されるだけで、ここの研究員には変わりはありませんから」
「………うん」
「それに、検査依頼の担当は先輩なんですよね?」
「……うん」
「だから、大丈夫です」

夏桜は真希に心配を掛けまいと必死に空元気を装った。

特殊捜査チーム『S』が担当する難事件の検査依頼は、科警研でもトップクラスの研究員が担当する。

真希はその検査の化学部門を担当すると、所長から聞いていた。

とはいえ、こうして毎日会えなくなるのは解りきっているだけに、2人とも動揺を隠せずにいた。

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