CHECKMATE
2人は今日初めて会ったという事を感じさせないほど、会話を弾ませる。
水島は詐欺やサイバー犯罪に長けているという事もあり、結婚詐欺の常習犯の取り調べを何度もしているうちに、口説き文句や女を落とすテクニックを知り得ていた。
しかも、水島は千葉には及ぶが中々のイケメンである。
クールな瞳と時折見せる流し目が何とも男の色気を漂わせている。
更には、千葉から握らされた現金。
先程合流した際に財布の中に補充されていたのである。
底なしの財布は、もはや打ち出の小槌状態。
そんな水島を女はお宝にしか見えていないであろう。
だが、ここで女を落とすのでは意味が無い。
女を取り押さえるのは容易いが、狙うはその背後にいる連中だ。
「水島、そろそろ退散だ」
千葉の指示に応えるように水島は咳払いを1つ。
そして、スッと腰を上げた。
「明日も仕事だから、今日はこの辺で」
「えっ?!」
水島の言葉に女は動揺し始めた。
獲物を逃がしては元も子もない。
女は立ち上がるとコートと花束を手に取り、水島の腕をそっと掴んだ。
そんな彼女を無視するかのように、水島はカウンターに1万円を置き。
「ご馳走様」
「ありがとうございました」