CHECKMATE


「予約している千葉です」
「少々お待ち下さいませ」

フロントのスタッフが笑顔で予約確認をしている間、夏桜は握られていない方の手で千葉のジャケットの裾を引っ張った。

「ん?」
「予約って何ですか?」
「予約は予約だが」
「は?」

千葉の耳元で小さく呟くと、しれっとした答えが返って来た。
益々唖然とする夏桜。

そもそも、ごく自然に手を握られている事自体、納得がいかなかった。
そんな彼女に気付いた千葉は、空いている方の手で夏桜の髪を優しく撫で、ゆっくりと耳元に近づき……。

「これは仕事だ、我慢しろ」
「ッ?!」

仕事だと言われれば仕方がない。
夏桜にとって理解しがたい仕事だが、千葉にとっては命を掛けるほどのものである。

この半月、共に仕事をして彼の仕事に対する想いを理解した夏桜。
千葉の一言で口を噤むざるを得なかった。

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