泣きたい夜には…~Shingo~



ひとみは奥さんの話に終始照れまくり、


「奥さん、ひとみちゃんを抱っこさせてもらってもいいですか?」


奥さんは快諾して、赤ちゃんをひとみの腕に抱かせた。


「お、おい!浅倉!落とすなよ!!!!」


向井先生は心配そうにひとみに声をかけた。


「大丈夫ですって!もう、ひとみちゃんのお父様は心配性ね。先が思いやられるわ。

ひとみちゃん、今度会う時は歩けるようになって、おしゃべりもするようになっているだろうね。

あなたのお父様とお母様はとても素晴らしい人ですよ。あなたも優しくて思いやりのある女の子になってね」


ひとみは腕の中ですやすや眠るひとみちゃんに優しく語りかけた。


向井先生と奥さんは顔を見合せ、微笑んだ。


「浅倉、いつ出発なんだ?」


向井先生に聞かれ、ひとみは、


「3月下旬には」


その表情は穏やかで、ふたりの愛が過去のものであることを物語っていた。


ひとみはひとみちゃんを奥さんの腕に抱かせて、


「お元気で、そしてお幸せに」


向井夫妻に頭を下げると、


「さっ、慎吾、行くわよ!」


俺の腕に自分の腕を絡ませ、駐車場へと向かった。



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