泣きたい夜には…~Shingo~



奥さん…事情はご存知なのでしょうか?


「お、奥さん、い、いいんですか?アイツ、気は強いし、ガキで泣き虫でおまけに狂暴だし…」


「誰が狂暴だって?」


「うゎっ!」


いつの間にか俺の後ろにひとみがいた。


ひとみは腕組みをし、俺をジロリと見つめると、


「全く、私がいないと思って、ろくなこと言わないんだから。奥さんは私と先生のことは全て承知の上で名前を付けたのよ」

奥さんは笑顔で頷くと、


「入院中に彼の愛した人が浅倉先生だということは、すぐわかりました。

浅倉先生にしてみれば私なんて憎むべき存在なのに、必死になって娘を…ひとみの命を救ってくれた。

娘には浅倉先生のような素敵な女性になってもらいたい…そんな思いをこめて先生のお名前をいただいたんですよ」


穏やかに話す奥さんは、以前、向井先生が話していたように、本当に懐の大きな女性だと思った。



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