泣きたい夜には…~Shingo~



本社の環境に慣れてくるにつれて、ドクターからの信頼も寄せられるようになり、会社での俺の評価も徐々に上がってきた。


本社に来て3度目の春を迎え、ひとみがもうすぐ日本に帰国するという嬉しい知らせがあった。


そんなある日、俺の運命を変える出来事に出会った。


「成瀬くんには礼を言わないとな」


そう言うのは、桂川総合病院の桂川院長。


桂川総合病院は某ビジネス雑誌のアンケート調査で入院したい病院の上位に毎回ランクインしている民間の総合病院。


院長はというと、パッと見は一時期流行ったチョイ悪オヤジという感じだが、性格は温厚、人当たりも良く、女性
が放ってはおかないタイプの男性だ。


だが、油断は禁物。


院長は見かけによらず、かなりのキレ者だった。


俺もこの院長と話をする時は一字一句洩らさないように全神経を集中させる。


いい加減な言動は会社の信頼を失うことだけでなく、MRとして命取りになってしまうから。



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