泣きたい夜には…~Shingo~



「院長、私、何かしましたか?」


礼を言われる心当たりがないが、この院長が礼だなんて何か企んでいるような気がしてならない。


院長はニヤリと笑うと、


「キミが病院の福利厚生の改善案を考えてくれたじゃないか」


あぁ、そういえば、そんなこともあったか。


「あれはただ自分がこちらに勤務していたらこの方がいいんじゃないかと思って、申し上げただけのことですので」


そう、


こういうのがあったらいいな、と俺の願望も含めた単なる理想論にすぎない。


「病院を経営する立場としては患者のケアばかりでなく、スタッフが働きやすい職場環境も提供しなければならない」


いつも口癖のように言う院長に、俺は心の中で「かっこいい!」と、拍手を贈っている。


緊張感を持ちつつも俺は桂川院長のことを尊敬している。



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