泣きたい夜には…~Shingo~



部屋にひとり残された俺。


何を焦っているのだろう。


これではいつも忙しいひとみがゆったり休暇を過ごすことなんてできないじゃないか。


夜はこれからだ。


焦るな俺、


落ち着け俺。


「俺も行って来るかな」


重い腰を上げ、大浴場へと向かった。


エレベーターでフロント階まで下りると、宿泊客の人垣ができていた。


何かパフォーマンスでもやっているのか?


いや、だとしたらこんなに緊迫した空気にはならないだろう。


人垣をかき分け覗いて見ると、


「………ッ!!!!」


カーペットの上に横たわる老人の姿に思わず息を呑んだ。


旅館の従業員は電話で救急車の手配をしているようだが、老人の対処にまでは手が回っていないようだ。


俺は仲居に大浴場にいるひとみに急病人が出たということを伝えるように頼んだ。



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