泣きたい夜には…~Shingo~
しばらくして、仲居さんが浴衣を持って再び部屋を訪れた。
この旅館では、女性用の浴衣がかなりの種類用意されていて女性客が好きなものを選べるようになっていた。
「どれがいいかな?うーん、迷うなぁ」
ひとみはさんざん迷った末、紺地に白い小花が入った落ち着いた感じの浴衣に山吹色の帯を選んだ。
時計を見ると午後4時半を過ぎたところ、夕飯までにはまだまだ時間がある。
「ひとみ、風呂…入るか…?」
「えっ!?」
ひとみは驚いて、
「まだ、明るいよ」
落ち着きなく視線を泳がせていたが、
「あっ!!!!」
何か思いついたのか、ぱぁっと明るい表情に変わって、
「そうだ!大浴場に行こっ!せっかくだから色々な温泉にも入りたいし」
言うよりも早く風呂に行く支度を始めた。
あぁぁぁぁ!!!
かわされたぁぁぁ!!!
「慎吾、後で…ね」
ひとみは嘆いている俺の気持ちを知ってか知らずかニヤリと笑うと、頬にキスをして大浴場へと行ってしまった。
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