夢のような恋だった
「やめろ。あいつら高校生だぞ。怪我させるな」
「チッ、なんなんだよお前ら」
「紗優にも手を出すな。紗優は……もうお前とは関係ない」
草太くんは、馬鹿にしたような視線を智くんに向ける。
「へぇ。で、お前は何? 紗優のこと狙ってんの?
紗優、可愛い顔して結構小悪魔だな。茂だけじゃなくて、コイツにもいい顔してんの?
でもレベル落としてちゃだめじゃん。俺のほうがコイツよりいいだろ、どう見ても」
「やめて」
汚い言葉で智くんを汚さないで。
だけど草太くんは、焦点の定まらない目で口だけは流暢に動かす。
「わかった。いーよ。相手がコイツならすぐ戻ってくるだろ」
鼻を鳴らす草太くんに、我慢が出来なかった。
かばってくれる智くんを押しのけて、彼の頬めがけて平手を振り下ろす。
予想以上に大きな音が辺りに響き渡った。
「智くんのこと、悪く言わないで!」
「いってぇな。何すんだよ」
「謝ってよ。私の事はいくら悪く言われたって構わないけど、智くんのこと馬鹿にしないで」
頭が爆発したみたいに熱かった。
泣いたり怒ったり、感情の全てをぶつけてくれた。
いつも、私の心の傍に寄り添ってくれた。
誰より深いところで私に触れてきてくれた智くん。
見かけなんてどうでもいいの。
智くんがいいの。
他の人じゃ絶対に無理なんだ。
彼みたいな人、この世で一人しかいない。