お見合いの達人
「はい、服乾いた」

とにかくもう二人にお引き取りいただこうと、

とりあえず乾燥機でまわしてたトシローの服を手渡した。

「ああ」

し~ん

もぞもぞと黙って着替えているトシローを、

私も藤吾もこれまた黙って見つめる。

しらっとした空気が私を責めてるみたい。


ああ、イライラする!


「それでね、あの、帰って欲しいんですけど」


「だとさ、早く帰れお前」


『あんたこそ!』


着替えが済んだトシローは帰る様子もなくドッカリとソファーに座りこむ。

「お前が帰ったらな」


どうやら長期戦を決め込んだようだ。

『じゃ、帰らない』

藤吾も以下同文……



「勝手にすれば」


スツールから立ち上がり、

バックを片手に立ちあがった。


この場所にとどまるのを真っ先に拒否したのは部屋の持ち主である私。


『「え?奈留っ?』」


後ろから声が追ってきたけど、無視して


サンダル引っ掛けて玄関を出た。

「ったく、まだ付き合ってもいないのに、

 修羅場ってる私って何なの?」


誰も聞いてないけど、イライラで爆発しそうな私は、

言葉に出さずにはいられなかった。



















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