お見合いの達人
その週は、忙しく過ぎて行き、

約束の日を迎えた。


いつもより華やかになるように、

美容院で髪をセットして貰い、

淡いグリーンのワンピースにストールを羽織り、電車に乗り込んだ。


「あ、何あれ?……そうかあれがコンベンションドームか」


そう言えば朝の情報番組で言ってたかも、

この間オープンしたんだっけ、

競馬場の跡地にできたって言ってたんだ。


そうかあ、競馬場なくなったんだなあ。


電車の窓から、前とは大きく変わった街の様子をマジマジと見ながら時間の流れを感じていた。


こんなゆっくり外の様子なんて気にしたことなんてなかったな。


いつも忙しかったから、

クローズしてから終電で帰って、次の日のクローズ作業前に間に合うように戻っていた。


責任者ということもあったけど、

仕事を理由に実家にいる時間を面倒に思って、少しでも短くしたかったんだ。


仕事が好きだったわけでも、やりがいがあったわけでもない、

自分の生きる理由を考えることを拒絶してただ流されていたのだ。


そういえば、前回里帰りしたのはお見合いの時で、

前日の深夜実家に帰ったから当然外など見る暇はなかったけど、

戻ってくる時は朝だった。


何で気がつかなかったんだろう。


あ、朝メエのせいだ、逃げるように戻ったから車窓なんて見てる間なかったじゃない。


あれからもう半年近く経ったんだ。


あの時39だった私はもう40までに結婚すると意気込んでいた。

そのお見合い相手の結婚式に出るとか、どれだけイタイ女なんだろう。







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