お見合いの達人
「もし、あなたが守りたいものが、

 守れなかったら、

 あなたの人生って何なんですかね?」


「そうです……ね

 そしたら、

 肩の荷が無くなって、

 自由になれるのかもしれないね。」

淋しそうな眼を見て何も言えなくなってしまった。

だって、

彼の言い方だと、

不自由のために頑張ってるってことだから、

自由になることの方がつらいって言ってるみたい。

「すみません。

 なんか、こんなことまで話すつもりなかったのに、

 断ってくださっていいんです。


 僕は多分あがいてるだけなんです。

 もう、流れにまかせるべきなんでしょう。」

ふざけるな、って

怒って帰りたいところだけど、

妙に興味がわいて、

もう少し詳しい話が聞きたい気がして、

うん、きっと好奇心てやつ。

断るにしろ、今日一日は一緒にいてもいいのかな。

なんて浅はか。

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