佐藤さんは甘くないっ!

その夜、佐藤さんからメールがあった。

今週末も泊りに来ないか、という内容だった。

カレンダーをちらっと見やると、自分で書いた赤い丸がとても主張していた。

……優輝と約束しているのは土曜日だった。

お昼は用事があるので、夜ご飯からならご一緒できますよ。

そう返信すると、俺も夕方まで仕事が入ったからちょうど良いな、と返ってきた。

二度目のお家デートに心が弾んでしまう。

当たり前のようにお泊りの約束ができるなんて、本当に信じられない。


「……優輝、」


佐藤さんは今日話したことには全く触れてこなかった。

わざと避けているわけではなく、もう気にするなと言われているようだった。

嫌味の10個や20個は覚悟していたのに拍子抜けも良いところである。

…朝一緒に通勤した日はあんなに怒ったくせに。

言うまでもなくわたしが落ち込んでいるのを解っているから、きっと何も言わないんだろう。


「…………むかつくくらい、優しいんだから」


わたしがまだ隠し事を重ねていると知ったら、いよいよ愛想を尽かされてしまうだろうか。

だけど優輝のことを清算するまでは絶対に付き合えない。

佐藤さんのことがもう大好きになっているのは、自分でもよく解っていた。

だからこそ、この嘘だけはまだ言えない。

早く好きって伝えたいのにな……そんなことを思いながら、眠りについたのだった。
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