佐藤さんは甘くないっ!
金曜日はまた部長の所為で仕事が大変なことになり、とにかく一日中ばたばたしていた。
もはやテンプレートと化しているこの流れに腸が煮えくり返りそうになったけど、宇佐野さんが相変わらず指揮を取ってくれたのでなんとか仕事を終えることができた。
夜は久しぶりに佐藤さんと一緒にご飯を食べて幸せな気持ちでいっぱいだった。
―――そして、ついに土曜日がやってきた。
待ち合わせは付き合っていたときによく行っていたカフェの前だった。
小さな石造りの噴水があり、ぼんやりと噴き上がる水を眺めていた。
……早く着きすぎちゃったかな。
いつもより緊張して選んだシックなワンピースに、お気に入りの赤いハイヒール。
髪の毛は頑張って巻いてみたりして、冷静になったときそんな自分に嫌気が差した。
だけど、2年振りに会うのだから、そわそわしてしまうのは仕方がない。
…でもやっぱり、気合い入ってるように見えちゃうかな。
佐藤さんと初デートのときはスーツだったし、この間はお家デートだったし。
いやあのときも服装はめちゃくちゃ考えていったけど…。
こんなに気合いを入れたことは…なかったかもしれない……それって最悪すぎる…。
勝手に落ち込んでいると、ぽんっと肩を叩かれた。
「……郁巳?久しぶりだね。髪短くなってたから、一瞬誰か解んなかったよ。」
二年前と全く変わらない、眩しいくらいの笑顔。
わたしの大好きだったひとが目の前にいた。